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建築業界2008年のキーワード「住宅の履歴書」を考える。
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「住宅の履歴書」は、2008年の建築業界において重要なキーワードとなります。
私たちが社会生活において新たな関係を築こうとする際、身分証明のために履歴書や名刺を差し出すように、「住宅にも履歴書をつくり住宅情報を公的に明示する」という制度づくりが2008年度から着手されます。
国土交通省によると、新築時の設計図・施工内容・施工業者・リフォーム歴等をデータベース化するといいます。消費者自らが中古住宅の品質を確認し、安心して購入できるような市場を整備することが目的。今回はこれから動き出す制度のポイントをご紹介します。
現状 中古住宅の不透明な評価
これまでの日本の常識では、中古より新築がよい住宅とされてきました。現在の不動産取引は住宅の性能や寿命に関わらず、主に築年数で価格が判断されています。つまり、住めば住むほど価値も価格も下落してしまうわけです。そのうえ建物の寿命は欧米に比べて短いため、中古住宅は耐久性も劣ります。
この傾向は、住宅市場全体における中古市場の占める割合でもはっきりと見てとることができます。欧米が中古市場7〜8割であるのに対し、日本は約1割と大きな差があります。欧米の中古市場が活発なのは、リフォーム等により住宅の資産価値が高まることが一因といわれています。資産価値が高いということはそれだけ価格も上がりますが、性能を維持するためにリフォーム=長く住まれた家は「丈夫で安心」、という評価につながります。日本のような住宅事情では、不安な中古住宅を購入するよりも、高くついても新築で安心感を得たいという購入者心理は自然な発想かもしれません。
この不透明な仕組みをクリアにすることが、住宅の履歴書づくりなのです。日本もようやく住宅価値の考え方を見直すべく、欧米の考え方を追いかけるかたちに変わろうとしています。また近年は、フローからストックへ転換する動きが著しく、2000年の「住宅性能表示制度」、2006年に制定された「住生活基本法」に続き、2008年度には「住宅の履歴書」を整備し、2009年度以降の実用化を目指しています。
建物の寿命 ※参考資料:国土交通省資料
日本人の平均寿命82歳を目安に、住宅の寿命と住み替えを単純計算すると、生涯で最低2回は住まいが寿命を向かえることになる。
先進各国の中古住宅市場
ストック数はアメリカ680万戸、イギリス180万戸に対し、日本は20万戸。
制度 メンテナンスできる仕組みづくり
国の取り組みで重要なのは、より長く住める家を新築することを促進しているわけではなく、長く住むためにメンテナンスしやすい環境や仕組みを整えることです。ここでは、制度づくりのポイントをご紹介します。
point1
データベース化
新築時に設計図や仕様書、施工内容、設計者・施工業者等の関係者まで、記録をしっかりとデータベースとして作成しようというのが「住宅の履歴書」。また、その後のリフォーム歴も残して、長寿命化を図ります。国が認めたその履歴書は、中古市場において消費者が内容を確認する際に、住宅価値を保証・判断する重要な基準となります。
point2
新住宅ローン開発
長寿命住宅は一般の住宅よりも初期建設コストが高くなると考えられます。そのため、消費者の返済時の負担が大きくならないように、それに見合った住宅ローンが必要。履歴書づくりに合わせて、返済期間が50年の長期固定型ローンが新たに開発されます。
point3
税減措置
履歴書のある、きちんと国が認証した中古住宅には、固定資産税や住宅売買時にかかる登録免許税、不動産取得税を軽減させることが検討されます。
目的 中古住宅の資産価値を向上
1.住宅性能の明確化
2.資産価値の高い長寿命住宅
3.中古住宅市場の活性化
住宅の履歴書を交付し、新たな住宅ローンや減税措置など中古住宅市場をとりまく環境が整備されると、上記のような効果や期待が高まります。
これらの項目は結果的に、無駄な廃材を出さずに住宅費の負担も少なくなり、経済的で環境に配慮した暮らし方へとつながります。
これからの時代に重要なテーマは「リフォームで価値が上がる家」です。政策が徐々に改められ、豊かさの基準が「長く大切に使う」ことへ移行する昨今、住宅の提案はどうあるべきでしょうか。まずは、住宅の長寿命化に努めること。そして、数世代先の暮らしを考えた住まいづくりを積極的にお施主様へ問いかけ、今できる最良の方法を共に模索することが大切です。
そして、木材ひとつにもトレーサビリティが必要というくらいの高い意識のもと、コスト面・意匠性・仕様や関係者に至るまで、ストック型住宅へ再構築することが急務かもしれません。
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