Living+netリビングプラスネット東海地区 住宅設備の総合サイト、皆さまとのより深い「住まいづくりのパートナーシップ」を目指して
住宅・設備業界情報 ニュース&イベント News&Event
特集
尾張・三河の古民家再生 〜地域に根付いた設計活動〜 愛知県瀬戸市を拠点に各地で古民家再生に尽力する建築工房 空(くう)。古い骨組みを利用して現代の感性を織りまぜながら、住み継ぐ家をつくり出しています。今回は代表を務める大嶌 博(おおしま ひろし)さんに、その設計コンセプトをうかがいました。
バックナンバー
新しい和の形を古民家に
古民家に漂う美意識を再生
もともと日本人は素晴らしい感性を持っていました。床の間や座敷から庭を眺め、四季のうつろいをしつらえて暮らす高い美意識のある家を、優秀な職人の手で造ってきたわけです。そういう古いものから出てくる表情は、決して新しい素材ではつくることができません。ただ管理ができずに朽ちてしまった家は壊す他なく、古民家は数が少なくなっているというのが現状。建築工房 空が関わっている新潟の山でも古民家は急速に減っているのだそうです。
事実、古い家に住んでいるお施主様が住まいの改修か、建て替えかで悩んでいたら、壊してほしいという方の割合が高いと言います。しかし、その多くの建物は再生可能なもの。旧家に漂う美意識を壊してしまうのは非常に残念なことなのです。建築工房 空では、きちんと再生した民家は、将来どこか他の場所へ移築したいと望んだ時にもまた再生が可能であることを伝えています。
新潟の旧家の天井を支えてきた梁組
これからは古民家も地産地消
大嶌さんは、活動の中心地でもある尾張・三河地区には築およそ70年から100年の旧家がまだまだたくさん残っていることに着目。新潟から移築するのも一案だが、その気候・風土で住み継がれてきた家を、自由な発想と感性でリフォームすることを提案しています。戦後、時代とともに洋風志向への傾倒が進んだ住宅動向も、昨今は若年層の日本好きを感じる機会が増えたと感じる大嶌さん。そういう若い人たちが、祖父母やもっと昔から祖先が住んでいた家を壊すのではなく、建物の一部を大切にしながら現代の感性で新しい「和」の形を見いだしてくれることを期待しています。また、地域のなかで育まれた古民家が、若い手によって生まれ変わっていくことはとても夢のある仕事ではないでしょうか。
地域の役に立つ設計事務所を目指して
見極める目を持つ
古民家を再生するうえで知識や技術が必要なのは当然ですが、やはり一番大切なことはお施主様が思い描く理想を、ご家族で実現できるように民家の良さを活かすこと。住まいへの愛着がより深くなるようプランニング時には、それまでの暮らしの中にあった必需品、大切にされてきた道具や調度品、個人の趣味などを細かくヒアリング。これは古民家再生に限らず、どんな住宅設計にも通ずるプロセスのはず。
そして、あれもこれもと欲張らず本当にこだわるべき所を見極めるプロの目で、古民家のデメリットもきちんと伝えることが大切。真の信頼関係を築くためには、時として否定することを恐れてはならないというのが大嶌さんのスタイルです。あとは言うまでもなく、基礎や断熱、耐震などの安全性と強度、耐久性の追求。それらとお施主様の思いを汲み取って、技術的な問題を信頼できる専属のベテラン職人とともに解決しながら、うまくまとめていきます。
本社には、オリジナルのステンドグラスを
手作りする工房もある。
建築工房 空では各地で相談会や
写真展を開催している。
自ら歩み寄ってこその地域密着
建築工房 空は活動範囲を今後さらに広げる計画。2009年春、設計・施工・監理を一環して請け負う支店1号店を愛知県犬山市に開設したのも、より多くの方の役に立ちたいと思えばこそ。きっかけを探している方や、今までは距離や周囲に相談先がないなどの問題やあきらめを抱いていた方がいたかもしれないと思うと、少しでも自分たちがお客様の近くへ行くことで、そういう気持ちを解消できればと大嶌さんは考えます。スタッフには、試行錯誤を重ね、長い時間をかけて共に歩んできたベテランの職人さんもいて、よいモノをつくり出す環境が少しずつ、確実に広がっているようです。将来的には地域ごとに5店舗づつ支店を構えたいのだとか。また、犬山市の街並全体を考えたプロジェクトにも参加するなどして、よりいっそう地域に根付いた設計活動に努めることを目指しています。
取材協力および写真提供:建築工房 空
UP
Copyright (C) 2004 TOHO GAS CO., LTD. All rights reserved.
Supported by TOHO GAS INFORMATION SYSTEM, MOTHER INC., NTT Software Corporation